前回の投稿でこの映画に触れた。このブログの筆者が最初に出会ったのは学生の時で、名画座の一番後ろ、立ち見で背伸びしながら観た記憶がある。今回手持ちの古いDVDで見直した後、4kデジタル・リマスター版の存在を知りU-NEXTでさらに見直した。
アラン・ロブ=グリエによる脚本を、アラン・レネが監督した1961年のモノクロ映画。難解なことで有名な作品である。
時代も国籍も不明なバロック調の宮殿のようなホテルに宿泊し、社交に興じる客たち。その中に女Aと男X、男Mの3人がいた。MとAは夫婦だが、XはAに対し、1年前に会い、愛し合ったと語りかける。Aは否定するが、Xは1年後に駆け落ちする約束もしたという。
女Aを、デルフィーヌ・セイリグが演じた。彼女の衣装はココ・シャネル自らのデザインである。
そして、2018年にシャネルの主導により、「去年マリエンバードで」の最高精細・最高解像度での4Kデジタル完全修復が実現した。以前のバージョンと比べると、映像のコントラストが格段に良くなり音声もくっきりと聞こえる。詳しい解説のある、4kデジタル・リマスター版公式サイトがWebに作られている。
Wikiによると、後年、脚本のアラン・ロブ=グリエがこの映画の仕掛けについて語っている。
- 現在
- Xの回想(Xにとっての主観的事実)
- Aの回想(Aにとっての主観的事実)
- 過去(客観的事実→Mの視点)
の4本の脚本が作られ、それらをバラバラにつなぎ合わせて、最終的な脚本が完成したという。これは、映画を読み解くための大きなヒントとなる情報だ。