月別アーカイブ: 2026年4月

田中泯+谷口裕和「独独座ーコレモコテンー」

映画「国宝」はとても幅広い影響を社会に及ぼした。田中泯というダンサー・俳優も「国宝・万菊・鷺娘」で万人に通じるようになった。

筆者が田中泯の「ハイパーダンス」を初めて観たのは1978年のはずだ。場所は早稲田大学だったと記憶している。陰茎に包帯を巻いただけの裸体を褐色に塗って踊った。とても大きな人だという印象が残っている。同年身体気象研究所を設立。あらゆる分野の表現者たちが集う場所ということだ。風が吹くといきなり踊り出す人と言われていたので、ぴったりの名称だと思った。

映画「たそがれ清兵衛」(2002年)で俳優デビュー。俳優としての出演作の多くを筆者は観ている。ダンサーとしての田中泯を追ったドキュメンタリー映画「名付けようのない踊り」(2022年)も作られた。U-NEXTで観れる。

「国宝」で振付・舞踊指導の役割を担った、谷口裕和との合同公演「独独座」が本年2026年2月28日に嘉多能楽堂で行われた。この日筆者は、午前中に右大腿後面(ハムストリングス)の疼痛を起こしていたが無事行ってこれた。田中泯のダンスを見ようとするとインフルエンザに罹ったりなど、キャンセルする事態に今までよく見舞われていたのだ。

田中泯とは無関係だが、能舞台での現代演劇公演というと、1977年1月に矢来能楽堂で行われた、劇団転形劇場、太田省吾演出の「小町風伝」を思い出す。暖房が全く効いていなくて客席は凍える寒さだった。台詞のない沈黙劇。主演の佐藤和代は足の指の動きだけで舞台を移動した。公演は好評価で迎えられ、岸田戯曲賞を受賞した。

森山開次「踊る。遠野物語」

前回に続けて民俗学の話題で。日本民俗学は、柳田國男の説話集「遠野物語」により切開かれたと書いても今は問題とならないだろう。その意義についての検討は現代でも続けられている。舞台化の試みも絶えることはない。

2025年12月28日東京建物Brillia Holeで、Kバレエ・オプトのバレエ+舞踏+歌舞伎の「踊る。遠野物語」を観て感動した。年末で気が回らなく、ブログ等に載せるのはこれが初めてとなってしまった。東京での公演は12/26, 12/27, 12/28の3日間5回だけだった。期間が短すぎて勿体ない。

出自の異なる集団の踊りをバランスよくまとめあげたのは、自らのダンスも披露した演出の森山開次。Kバレエのメンバーはバレエを踊り、麿赤兒率いる舞踏集団大駱駝艦は舞踏を踊る。さらに名門・尾上家の寺島しのぶとフランス人アートディレクターの父の血を引く13歳の逸材尾上眞秀が、この世とあの世のあいだに佇む神秘的な少年を演じ、物語の運命を左右する。

400年以上前から遠野に伝わる郷土芸能シシ踊りの奥伝を、森山開次は板澤しし踊り保存会から授けられたということだ。今回の舞台、シシ踊りがクライマックスだった。