ジョロウグモ (Trichonephila clavata)

2026年10月15日、湯河原で撮影した。沢山のジョロウグモが、網を張っていた。写真の個体は、庭園の中央に巣を広げていて獲物が多いため栄養が良く、腹部は丸みを帯び体長も他の個体を圧していた。腹側から撮っている。

写真左上にいる褐色の小さなクモは、ジョロウグモのオスだ。網の上でじっと待機して交接の機会を虎視眈々と狙っている。クモは、生殖器以外での雌雄の差、性的二形が非常に目立つ。

クモ類は一般的な昆虫のような交尾ではなく、オスが精子を入れた触肢をメスの腹部にある生殖孔に挿入する「交接」を行う。精子は受精嚢に貯蔵される。

オスの体の小さいことは「交接成功率の向上」と「生存率の向上」の両面において有利になる。
1. メスの捕食から逃れる俊敏性
クモの交接は命がけ。オスがメスに近づく際、メスにエサだと認識されると一瞬で捕食されてしまう。
  • 俊敏な動き: 体が小さいオスは身軽で俊敏に動くことができるため、メスが襲ってきたとしても素早く攻撃をかわして逃げ延びることができる。
  • 気配を隠す: 体重が軽いため、網の上で動いても振動が伝わりにくく、メスに気づかれずに背後から接近するのに好都合。
2. 天敵に見つかりにくい
  • 網の上でじっと待機している間、体が大きいオスは鳥やハチなどの天敵に発見されるリスク(捕食圧)が高くなる。小さいオスは目立たないため、チャンスが訪れるまで安全に生き残りやすい。

交接の80%以上はメスの最終脱皮中かその直後に行われ、それ以外ではメスの摂食時に行われる。脱皮中や脱皮直後のメスは、体が柔らかく動きが鈍い。食事中はメスの気が逸れていて、両手(前脚や顎)も塞がっているためメスの攻撃性が弱く安全に交接を行えるのだ。

参考までに、同じ日に撮影した他の個体の写真も掲示する。多くの個体がこの程度の体格だった。

逆光となり、色の情報が飛んでしまった。背中側よりの撮影。